トップページ 懐石料理 仕出し料理 おせち料理 宿泊のご予約 所在地



 銀杏の生産地は濃尾平野の西方、木曾川に接する祖父江町で、全国の七割ほどを産出しています。町を訪れると、イチョウ畑というよりもイチョウの杜が点在し、垣根を巡らした庭には必ずというほど数十年以上は経たであろう大木があり、それらが一斉にたわわに実らせた銀杏に出会うと、いささか目のくらむような感動を覚えます。
 祖父江町によると、イチョウは燃えにくいため防災用に、また伊吹おろしから屋根を守る防風のために江戸時代に植えられたそうです。銀杏生産を目的としたイチョウ栽培は百年程前からで、成功した理由は、まず伊吹おろしが逆に木の軟弱成長を抑え、貯蓄養分を増したこと。そして夏の高温と高い地下水位が実を大きくし、上質の銀杏栽培に結びついたといわれています。

 祖父江町近在の銀杏には、久治、藤九郎、金兵衛、栄進などの品種があります。中でも、藤九郎は食味が良く粒が大きく、貯蓄性もあるため、市場価値が高いものです。茶碗蒸し、がんもどき、土瓶蒸しなどに使う銀杏は脇役ですが、酒の肴によく合う煎銀杏は、風味の良い主役となります。
 晩秋になり、よく実った銀杏はもっちりとして旨みも深く、十分に茹でて餅のように搗き、団子として薄葛仕立てでいただきます。

 蓮根はスイレン科の植物で、ハスと呼びますが、これは果実の入っている花托が蜂の巣に似ていることからついた古名「ハチス」に由来しているそうです。
 食用のハスは、中国や朝鮮から鎌倉時代に伝来して在来種となり、明治初期に再び中国から輸入されました。在来種の日本の赤蓮根はムチン質を多く含み、良く糸を出し、旨味も格段ですが、収量が少なく病気に弱く、地下茎が土の中深く潜り込んでいて手間がかかることなどから、栽培料は落ちています。市場に出ているのは中国系がほとんどで、糸も引かず、日本種に比べるとイモに近い味だといえます。

 早生の新蓮根は七、八月に市場に出回り、色白で歯ごたえの良さを珍重しています。しかし、蓮根本来、赤蓮根本来の糸を引くもっちりとした旨味は十月を過ぎてからです。そのまま煮ても十分おいしいのですが、一工夫して小豆を詰めて薄味でこっくりと煮て小豆蓮根といたします。さらに寒さも深まれば、蓮根をすりおろして季節の具を入れて蓮根饅頭とし、薄葛あんかけでお出しします。